失はれる物語
|
個人的評価:★★★
乙一の作品を読むのはこれが2度目である。
前回読んでから随分間が空いてしまった。
それというのも、自分が読むのを避けていたためであるが。
文章がまとわりついて離れない感じがしたので「この人の文章は
自分には合わない文章」と決めつけ読むのをやめてしまった。
然し最近あれから時間が経っている事だし、と手に取ってみたのが
今回の「失はれる物語」なのである。
結論から言えば、悪くなかった。楽しめた。
前回はなぜあんなに嫌ったのだろうと考えてみたのだが、
物語の流れと言葉があっていない事があるので、
それが理由かも知れない。例えば「傷」。ストーリーは面白い。
しかし11歳の少年が「無垢」や「禍々しい」などといった
言葉を使うだろうか?総て別の言葉にしろとは言わないが、
一人称を「オレ」と折角少年らしい軽いものにているのだから
「きれい」とか「ぞっとする」などにしても良いのでは、と思う。
読んでいる側は、少年の目線でみていた物語の世界が、
少年らしからぬ言葉の混入によって目線がぐにゃぐにゃ変わってしまい、
違和感を感じてしまう。
個人的に好きな話は「手を握る泥棒の話」。焦らなきゃいけない場面なのに
情景を想像すると滑稽で面白い。コメディである。
「しあわせは猫のかたち」。幽霊と同居する?お約束を裏切った話。
ほほえましく、少し切なく、くすりと笑ってしまう。
「ボクの賢いパンツくん」これは題名からして引きつけられるでしょう。
ハイなテンションは最後まで続き、少年は少し成長する。
こんなパンツが欲しい。だれかください。
反対に苦手な話は「マリアの指」。
〔以下ネタバレ含む〕
問答しながら推理としていく過程は楽しめたが、
指という小さくて軽い物が、投げたら線路を越えて金網を越えて、
反対側に行くほどのものなのか?しかも女性の腕力で。
野球部で男性の主人公と同じように考えちゃ無理があると思う。
あと、中学生の時の筆跡と、大学生時の筆跡が、同一のものである、
とするのも無理があるのでは。大学からの友人からみても
これはマリアの字だ、と思わせるなんて、
どれだけ変わってないんだよマリア!
こう並べてみると、自分がどんな話が好きで、また苦手なのかが
なんとなく見えてきますね。
ところで「Calling You」は映画「バクダット・カフェ」の曲名なんですが、
この歌中村うさぎもなにか言っていたなあ。そんなに良い曲なのかな。
時間があったらこの映画、見てみよう。
- ABOUT
- カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
- 最新記事
- プロフィール
話題振られたら
大体乗っかります。
読んだ本の内容を忘れて
また読むという事を無くす為に
開設。 ああしかし文章は
滅茶苦茶なり。
基本は五段階評価。
- 基本的に
- ブログ内検索
- 来客者数
- 現在興味あるキーワード検索
- ブログペット