石の庭園
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個人的評価:★★★★
読み始めて、ああ、青春小説ってやつか、と少しうんざりした。
「ライ麦畑でつかまえて」を思春期に読んでも共感出来なかった自分には、
これを読み終えるのは難しいだろうなと。
元々思春期特有というか、なんというか難しいが、
「大人は皆ずるがしこい、自分はそれに耐えられないし、
受け入れられない。でも大人には自分を守る義務がある。
反抗してもあなた方は受け入れなければならない。」というような
強烈な自己愛ぶりは苛々しちゃってみてらんないす。
この「石の庭園」もそういう青臭い話なんじゃなかろうか、と思った。
しかしこれはちと様子が違う。確かに青臭い面もある。
けれども、いやだいやだと思いながら読んでいたのに、いつの間にか
この続きはどうなるのかしらんと、急いでページを捲っていた。
主人公アリスは周りを拒絶しながら、けれども少しずつ受け入れていく。
その感情が、丁寧に書いてあるから共感が出来る。
自分で考えて考えて、行動を決める。もちろん年相応の少女として。
最初と最後の彼女を比べると、明らかに変化しているのがわかる。
周りの人物もユニークだ。そして、皆悩みを抱えている。
書いてある内容はとても汚くて、悲しいことなのだけれど、
読んでいると心が澄んでくるような気がしてくる。描写が上手いのだなあ。
外国の若者も、日本の若者も、やることは違えど、
考える事は変わらないのかも、と思った。
高校生の方々に読んで頂きたい本です。
好きな場面は、刑務所での語らいと、最後の手紙を読むところ。
突き刺さる繊細な痛みと、しっとりとした感じが好き。
フランクの言葉は拙いけれど、重みがある。
〔以下ネタバレ含〕
でもドラッグやってるのは許せないんだよなあ。
向こうは日常的な事かも知れないけども、やらないで居て欲しい。
ブログ名とHNが一緒だと検索しにくいので(自分が)名前を変えてみました。
でもHNは今のところどうでもいいや。
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個人的評価:★★★
著者が一編の詩を渡し、想像力を膨らませて宇野亜喜良が絵を描く。
その絵に基づいて著者が話を綴る…という、一風変わった作りをされた短編集。
これは幻想小説とでも言うのだろうか。鮮明なのにどこかぼんやりしている。
表現が美しい文章と艶容なイラスト(カラー!)の織りなす夢はぼうっとさせる。
著者の文章は綺麗だ。そういう言い表し方もあるのか、と頷くことあり。
同じ事言うのでもこんなに違う物なんですね。
但し、私が幻想小説という類を得意としないので(つじつまを見つけようとしてしまう)、
★は3つにしました。
好きな話は「美しき五月に」(挿絵が良い)、時間系列が納得いかないのが「キャラバン・サライ」。
宇野亜喜良、ドグラマグラの表紙を書いた人だとずっと思っていたが、
あれは米倉斉加年だった。今みたら全然違う。絵小説も中でも書かれていたが、
記憶はあやふやなものだ。
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個人的評価:★★★*
前作「話を聞かない男、地図が読めない女」は製本での
手抜きだか失敗だかわからないが、結構誤字や、
印刷ミスがあったりして、おいおいやる気あるのかよーと
内容的にも、もーおまえらセックスアピールばっかかよ!ケッ!
続編でても読まないね、と思ってたのですが、
結局続編の今作も読んでしまった。あああ、志が弱い。なんだかんだ言って
こういうのは気になるのですね。はい。
今回は面白かった。相変わらずすごいステレオタイプな
男性女性でして、こんな奴が世界にいっぱいいるのか!と
少し呆然としたが、皆の意見を聞いて、本にして居るわけだから、
出来上がる人間像は平均的な、つまりステレオタイプになるのですね。
前作を読んだ時より自分も精神的に大人になったようです。ほっほっほ。
話を戻しまして、ステレオタイプですので、自分にも当てはまる部分が
ところどころあって、そうだなあ、そうかもなあと読めてしまいました。
異性にも読ませてみたけれども、同じ意見のようです。
「女の婉曲話法辞典」。これは当てはまる人もそうでない人も、
もうネタとして面白いです。このしゃべり方で話すのが一時的に
ブームになりました。内輪で。
異性について悩める方、相手がみんなこんな考え方をしているとは
思いませんが(男は性欲の塊みたいな書き方は少しひどい)、参考にしてみては?
無痛
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個人的評価:★★★★★
心神喪失者の行為は、罰しない。 2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
『刑法39条』。本当の心神喪失者なのか、それとも偽っているのか。
心の状態は、誰に推し量れない。どちらかだと判断しなければならない場合、
事態に直面した時、だれもが思う。
真実を教えてくれる誰かがいないか、と。
この話にはその「真実を教えてくれる」人物が登場します。読心術をもつとか、
異常な力をもつから、というわけでもなく、それなりの判断根拠を
見いだせるからであって、彼等はスーパーヒーローではありません。
あらすじを読むと彼等は超人間なのではないかと思ってしまいますが
(自分だけか)、普通の人間です。一応。
刑法39条というのは難しい刑法でして、以前は心神喪失者であろうとなんだろうと、
人を殺めたならばそれ相応の処罰を受けるべきだし、罰しないなんてもってのほか、と
思っていましたが、この本をよんでから少し意見が変わりました。
まあ、両極端で無くなった、というだけなんですが。
本当の心神喪失者ならば、この刑法39条は適応されるべきなのでしょうが、
これを逆手にとった輩も出てくるわけで、この本は人間世界を法律によって白か黒かと
決めつける難しさ、そして身近に起こりうるかもしれないと思わせるリアルさをもって、
怒濤の勢いで読者を巻き込んでいきます。描写がすごい。生々しくかつ無駄がないので
鮮明な情景が頭に思い浮かびます。「ハンニバル」が読めない人は少しキツイかも。
…これはスプラッター物になるのか?
もの凄く面白く、そしてとても後味が悪く、かなり考えさせられる一品です。
お勧め。
頭使う本はいつにもまして文が滅茶苦茶だね!
関係ないけど著者は二次元が好きなんですかね。著作に結構出てきます。
【以下ネタバレ含】
でも刑法39条があったとしてもイバラは厳しく処罰されるべきだと思う。
一番罰されるべきはエリート医ですが。彼は勝手に行動するナイフを
つくりあげてしまったわけで、取りあえず日本に帰ってこい!
でもトミィにとっては恩人になるからねー、むずかしいねー。
この頃本の当たりが多くて嬉しい。
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個人的評価:★★★★
抱腹絶倒もの、ってなかなかありませんね。これはイヒヒヒヒと声が出てしまう内容なので
人が居るところでは指で口元を押さえるか、女性の方はハンケチーフを口元に当てると
良いかと思われます。
パリでいつもの如く下痢っ腹になり、駆け込んだ先は有料トイレ。もどかしく硬貨をいれ
やっとのことで一息つくと新たに硬貨を入れる音が…
相変わらず身を削ってます。便意を我慢するって、もの凄く辛いと思います。
巻末に原田宗典との対談付。
中村うさぎの文章は日本語がちょっとおかしかったり(個人的意見ですが。「腑に落ちた」など)
するので、敬遠するきらいも少しあるんですが、それでも結局読んで読んでしまうのは
圧倒的に内容が面白いから。身を削って本音バラまいて、いつもなにかに立ち向かって
ドギャーと言ってる姿はとてもすがすがしいです。次はどう変化していくのか?!と
目が離せない。破滅せずに進化していって欲しい、というのは、あまりにも身勝手か。
詩をやりたいと行ってる人に「詩はお金儲からないからやらないな」なんて
なかなか言えるセリフじゃない!流石中村うさぎ。
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大体乗っかります。
読んだ本の内容を忘れて
また読むという事を無くす為に
開設。 ああしかし文章は
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基本は五段階評価。
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